応援の気持ちの「見える化」で、誇れる湘南を未来へつなぐ
湘南電力「神奈川県南西部の湘南エリアは、長い歴史と伝統・文化があって、豊かな自然が残る場所。何が好きかと聞かれると、この地域のブランドすべてが好き、ですよね。」
そう言って、はにかむような笑顔を見せた、土井悠史さん。
湘南電力株式会社に入社して6年目。現在は、地域電力小売事業のグループマネージャーとして、需給管理・料金施策・電力調達の管理業務を中心に、充実した日々を送っておられます。
△土井悠史さん
2017年、大手鉄道会社グループ企業の企画職として歩みだしていた社会人2年目。土井さんは出張先で、その後の自身の人生を大きく変えるFacebookの記事と出会います。
地元の湘南に地域電力会社が設立―
生まれ育った地元である開成町の町長と今の会社の代表が、再生可能エネルギーの地産地消の促進に向けた協定を結んだというその記事。元々公務員志望で、いつかは地元のために貢献したいというビジョンを描いていた土井さんは、地元の未来を大きく変えるかもしれないこのプロジェクトに何か関われないかと、自分から問い合わせをされたのだそう。
「あの時は、そもそも地域の電力会社ってどういうことなのか、それさえも分かっていなかったんです。」
と、土井さんは当時を振り返ります。
△開成町における再生可能エネルギーの地産地消事業の促進に係る協定書締結式
まちづくり会社の社員として、地元に貢献するプレーヤーに
幼い頃からサッカーを続けてきたこともあり、活動を通して地域とかかわることが多く、この環境や人々に育てられてきたという土井さん。いつの頃からか、将来は自分もそんな風に、地元に貢献できる人間になりたいと思うようになっていたのだとか。
「この地域には、目に見える大きな課題は見当たらない。住民の地域への愛着は深く、外国人観光客や移住者も多い。地方に見る深刻な人口減少や企業衰退もない。だけどその裏返しで、危機感がないことに課題意識を持たなくてはいけないし、人から羨ましがられるこの湘南を、守り続けていかなければいけないと思っています。」
△小田原メガソーラー市民発電所
Facebookの記事をきっかけに湘南電力株式会社のことを知った翌年、2018年にUターン転職。
地域でつくった電気を地域で循環させ、事業利益を街に還元する。そんな仕組みを湘南地域で立ち上げ、エネルギーを通じたまちづくりに挑戦している湘南電力で、土井さんは、電気の地産地消や再生可能エネルギーの普及に第一線で取り組んでいます。
入社当初から地域電力事業の営業担当として、一般のお客様だけでなく、自治体や地元企業、公共施設など、様々な取引先と「毎日を、ちょっと明るく」を共通言語に、セッションを重ねる日々。
「湘南地域の様々な企業や事業をエネルギーで支え、持続可能なまちづくりに貢献したい」そんな志を胸に抱く。
転職と同時期に結婚した奥様からは、「顔が丸くなったね」と言われるのだそう。「地元をフィールドにしながら、様々な問題解決や新規プロジェクトに主体的に関わっている充実さが伝わっていると思います。支えてくれる妻にはいつも感謝しています。」と、柔らかい表情で土井さんは話します。
△土井さんがメニュー開発からデザインまで携わった、再エネメニューロゴ
「応援の気持ちの見える化」が、共感を呼ぶ
「湘南のでんき」がより多くの方に選ばれるようにと、土井さんが工夫されてきたのが、「応援の気持ちの見える化」。
湘南電力の「湘南のでんき」は、神奈川県内で発電された電気を供給し、その電気代の1パーセントで地域を応援できるというもの。湘南電力が設定する「地域応援メニュー」を通じて、伝統行事やプロスポーツ、アート、子ども食堂など、契約者自身が自分の電気代から応援する相手を選べるという点が、「湘南のでんき」の大きな特徴です。
地域の伝統行事や健康づくりなど地域活性化につながる活動に還元する「地域活性化応援プラン」、湘南エリアの海岸美化活動や防災の取り組みを支援する「湘南ライフスタイル応援プラン」など、地元の人たちの応援の気持ちと地域電力会社を立ち上げた側の想いを結んで形にした、地域ならではの商品を企画し、現在8つのプランができています。
土井さんは、幼少期から大学までサッカーに打ち込まれてきたこともあり、中でも、神奈川県内の9市11町をホームタウンとし、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟しているプロサッカークラブ「湘南ベルマーレ」の応援プランを立ち上げることができたことは、感慨深かったのだそう。
「ふるさと納税のように、目に見える形で応援の気持ちを届けられる仕組みにすることで、共感してくださるお客様が増えたと思っています。」と、土井さんは語ります。
△地域応援メニューで応援する団体「アール・ド・ヴィーヴル」
△湘南ベルマーレとのPR活動
湘南電力の未来を担う、31歳
「若い奴が頑張っているなと、誰かにとっての希望になれたらと思う。」
今年31歳を迎える土井さんは、そう語ります。
入社当時は、新規契約の獲得を主なミッションとされていた土井さんですが、今では経営企画・社内新規事業(需給管理業務)の立ち上げ・電力調達へと仕事の幅を広げ、会社の重要な意思決定にも携わるように。ここ2年ほどは電力市場高騰の影響を受け、事業存続の危機を迎えるなど苦しい時期もあったそうですが、それを乗り越えつつある今、自身の成長と、大きなやりがいを感じているのだとか。
「30歳を過ぎて、学びの時期から独り立ちする時期に差し掛かっていると思っています。この大切な時期を湘南電力で過ごせたことは自分にとってプラスになっているし、転職は間違っていなかったと思う。地域をフィールドにしている仕事なので、これからさらに、色々な人を巻き込んで向かいたい方向に進めるマネジメントスキルを身に着けていきたいですね。」
△原社長を囲む若手社員
仕事を通して感じたご自身の変化についてお尋ねすると、事業継続性というサステナブルの基礎に立ち返って、やりたいこととやるべきことの交点を整理し、納得しながら前進できるようになれたことが、ここに入社して得られた大切な財産だと振り返る土井さん。
「湘南電力は、今年9月に設立10年を迎えます。創業メンバーの志を受け継ぐ立場として、中長期の経営計画やブランディングによるグランドデザインを描き、次の10年に向かわせたいと思っています。またその先に、湘南電力を地域産業にして、この地域のために働きたいという若い人が活躍できる場所にしたい。」
△環境スクールソーラーカー教室
最後に、エネルギーを通じたまちづくりを仕事にしている土井さんに、この仕事の魅力についてお聞きしました。
「大きな組織の一員として働くことももちろん良いですが、愛着のある地域をフィールドにして主体的に仕事をしたい人には、魅力的な仕事。けして楽な仕事ではない、という前置きはしておきますが…(笑)。常に自分が当事者として面白いチャレンジができていて、やったらやっただけのことは成果になる。この仕事を魅力的に感じる若い人は、たくさんいるはず」
地域電力を通して持続可能なまちづくりに貢献するとともに、電力会社として、オープンイノベーションで「地域で暮らす」ということをもっと良くする立場になっていけたらと、これからのビジョンを語る土井さん。
土井さんの挑戦は、これからも続いていくことでしょう。
会社概要
会社名 | 湘南電力株式会社 |
所在地 | 神奈川県小田原市扇町1丁目30番13号 |
会社HP | https://shonan-power.co.jp/ |