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団体紹介記事

米子発、地域エネルギー会社の第一線を走る

ローカルエナジー

鳥取県西部に位置する米子市は、鉄道・空港・道路など交通の利便性が良いことから、「山陰の玄関口」と呼ばれています。県庁所在地の鳥取市に次ぐ県内第二の都市ですが、古くから人通りの盛んな「商都」として栄え、人口密度は山陰地方の自治体で最も高いと言われています。

そんな米子市に拠点を置き、「エネルギーの地産地消」と「地域経済基盤の創出」に取り組む会社が、ローカルエナジー株式会社です。

ローカルエナジーは、電力の地産地消や需給管理を自社で行っている地域エネルギー会社の成功例として各地から多くの視察を受け入れている、“地域エネルギー会社のトップランナー”。
そんなローカルエナジーで活躍する3人の女性リーダー、渡辺さん、安田さん、宇田川さんに、仕事のやりがいなどについてお話を聞きました。

△米子市にあるローカルエナジーのオフィス

設立のきっかけ

ローカルエナジーは、2025年12月に設立されました。人口最少県の鳥取県ですが、設立当時の試算では、一般家庭・企業・行政で使用する電気代は約1000億円にものぼったそうです。それまで県外へ流れ出ていたこの電気代を地域内で回すことができれば、持続可能なまちづくりにつながるのではという構想が生まれたことが、ローカルエナジー誕生のきっかけでした。

米子市、境港市、そして株式会社中海テレビ放送ほか地元のインフラ企業など5社の共同出資により設立されたローカルエナジーは、電力小売・卸売事業を主軸として、再生可能エネルギーを活用した電力を地域から調達し、鳥取県西部地域の公共施設をはじめ、一般家庭や民間企業へ供給しています。
その他の特色としては、環境教育・啓発やコンサルティングにも力を入れているという点があります。

次世代へ伝えたい想い

―ローカルエナジーが力を入れている環境教育とは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか?

宇田川:
ローカルエナジーでは、小学生に向けた環境教育の授業、社会科見学の受け入れや、中・高・大学生への講義を行っています。特にクイズに大きな声で答えてくれる子どもたちの反応は、何度やっても感動する瞬間です。

地域にとって良いことや、地域を大切に想う心を次世代に伝えていけるのは嬉しく、子どもを通して親世代にも広がってくれているのではないかと感じています。

△環境教育の様子

渡辺:
ローカルエナジーには、「SDGs de 地方創生」の公認ファシリテーターの資格を持つ社員が2名おり、私もそのうちの一人です。

SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」に基づき、カードゲームを用いたSDGsワークショップも行っています。企業の研修や地域の子どもたちなどにSDGsについて楽しく学んでもらう中で、ローカルエナジーの取り組みについても知ってもらえるきっかけになればと思っています。

△SDGsゲームの様子

SDGsと働きやすい環境づくり

―次世代教育はSDGsのゴールに基づく取り組みでもあるのですね。ローカルエナジーのSDGsに向けた取り組みは他にもあるのでしょうか?

渡辺:
SDGsが日本国内に浸透し始めたとき、ローカルエナジーの理念や事業内容がその考え方に近いということで、SDGsのゴールを達成するための計画がなされました。ローカルエナジーでは、SDGsの17のゴールのうち、特に10のゴールについてそれぞれ目標を設定しています。

ローカルエナジーでは、働きやすい職場環境づくりを行うため、有給休暇を取りやすく、時間外労働をできるだけ減らせるよう配慮しています。
また、テレワークの運用も行っています。災害や感染症などの発生のほか、山陰は積雪地方で、大雪の日は必要な人員が出社できないこともあります。そうしたリスク対策としても、在宅勤務は重要なシステムです。

そのほか、副業を認めたり、専門性の高い方に業務委託で参加していただくなど、多様な働き方ができるという点では、新しい考え方の企業なのかも知れません。

△オフィス内の様子

女性が活躍しやすいまち

―米子というまちの気風は?

安田:米子は2世帯で同居している人も多く、子どもを地域で育てようとする気風があって、私自身も働きやすい地域だと感じています。

△安田さんが担当する需給管理業務の様子

若い世代の人たちに「いいな」と思ってもらえる会社に

宇田川:
これからも、ローカルエナジーの理念である「エネルギーの地産地消による新たな地域経済基盤の創出」に貢献していきたいです。ローカルエナジーだけでなく、地域全体の力で良くなっていきたいという想いがあるので、理念にはとても共感しています。

今後も、ローカルエナジーが地域のインフラのプラットフォームとして成長できるよう努力したいと思います。

私たちの仕事は「お医者さん」「サッカー選手」のように、子ども達にも分かりやすい職業ではありませんが、こうした仕事もあるということがもっと広まれば、目指す人が出てきてくれるかもしれないですね。

安田:
大学進学や就職で県外へ出た若い世代が地元に戻りづらいという現状があります。私たちの仕事を通してローカルエナジーが認知され、その魅力が伝わり、結果として若い人たちに興味を持ってもらえる会社となれば嬉しいです。

△オフィスの外観

地域エネルギー会社のトップランナーと呼ばれる会社で、地域社会に貢献する幅広い事業展開をされながら、様々なライフステージの人が働きやすい環境づくりにも取り組んでおり、あらゆる会社がめざすべきお手本のようだなと感じました。実際に、女性リーダーの方が多数活躍されていらっしゃるということも、頼もしいです。

ローカルエナジーはこれからも、米子から地方創生に向けた革新的なチャレンジを続けていかれることでしょう。

会社概要

会社名     ローカルエナジー株式会社
所在地鳥取県米子市角盤町1丁目55番地2 中海テレビ放送センタービル2F
会社HPhttps://www.lenec.co.jp/index.php

この記事でご紹介したローカルエナジー株式会社 渡辺さん、安田さん、宇田川さんのストーリーについて、詳しくは、2025年7月発刊の書籍「エネルギーで地域を元気にする仕事」(学芸出版社/編著:一般社団法人ローカルグッド創成支援機構)に掲載されています。ぜひ併せてご覧ください。