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団体紹介記事

米子発、地域エネルギー会社の第一線を走る会社

ローカルエナジー

鳥取県西部に位置する米子市は、鉄道・空港・道路など交通の利便性が良いことから、「山陰の玄関口」と呼ばれています。県庁所在地の鳥取市に次ぐ県内第二の都市ですが、古くから人通りの盛んな「商都」として栄え、人口密度は山陰地方の自治体で最も高いと言われています。

都市機能が充実していながら、中国地方最高峰の山「大山(だいせん)」と日本海に囲まれ、自然環境にも恵まれた地域です。

そんな米子市に拠点を置き、「エネルギーの地産地消」と「地域経済基盤の創出」に取り組む会社が、ローカルエナジー株式会社です。

2016年4月からはじまった電力自由化を契機に、日本国内に小売電気事業者が増えてきましたが、ローカルエナジーは、電力の地産地消や需給管理を自社で行っている地域エネルギー会社の成功例として各地から多くの視察を受け入れている、“地域エネルギー会社のトップランナー”。

そんなローカルエナジーで活躍する3人の女性リーダー、渡辺さん、安田さん、宇田川さんに、仕事のやりがいなどについてお話を聞きました。

△米子市にあるローカルエナジーのオフィス

設立のきっかけ

―ローカルエナジーは、電力自由化を控えた2015年12月に設立されたのですね。この地域で地域エネルギー会社を立ち上げることになったきっかけは何だったのでしょうか?

鳥取県の人口は55万人を切っており、東京都杉並区の人口とほぼ同じだと言われています。人口最小県とはいえ、鳥取県の一般家庭・企業・行政で使用する電気代は、当社設立時の試算で年間約1,000億円となりました。この金額は、県の一年間の収入に対して4分の1に相当します。これまでこの1,000億円は県外の電力会社に支払われ(当社試算)、さらにそこから海外企業に流れていました。この金額を地域内で回すことができれば、持続可能なまちづくりにつながるのではという構想が地域で生まれたことが、ローカルエナジー誕生のきっかけです。

米子市、境港市、そして「株式会社中海テレビ放送」ほか地元のインフラ企業など5社の共同出資により、官民連携による新たな地域貢献のモデルを創り上げ、ローカルエナジーは2015年12月に設立を迎えました。電力小売卸売事業などを通じて、地域内におけるエネルギーの消費や資金循環を促すことができれば、地域経済の自立、さらには地方創生を実現することができると考えています。

電力小売卸売事業としては、太陽光発電、バイオマス発電、小水力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーを活用した電力を地域から調達し、米子市を中心とした鳥取県西部地域の公共施設をはじめ、一般家庭や民間企業へ電力を供給しています。そのほか、地域の次世代エネルギー施策全般について取り組み、教育・啓発やコンサルティングにも力を入れているのがローカルエナジーの特色です。

次世代へ伝えたい想い

―ローカルエナジーが力を入れている環境教育とは、具体的にどのような取り組みをされているのですか?

宇田川:私は営業部に所属し、取引先対応の他に、環境教育や外部視察の受け入れ調整を中心に担当しています。IT系企業での勤務やインストラクターとしての経歴があり、元々情報を整理して伝えることが得意なので、今の担当業務は自分のキャリアを活かせているなと感じています。

ローカルエナジーでは、小学6年生に向けた環境教育の授業、社会科見学の受け入れや、中・高・大学生への講義を行っています。特にクイズに大きな声で答えてくれる子どもたちの反応は、何度やっても感動する瞬間です。

地域にとって良いことや、地域を大切に想う心を次世代に伝えていけるのは嬉しく、子どもを通して親世代にも広がってくれているのではないかと感じています。

毎年株式会社ブランド総合研究所が発表する、地域でのSDGsへの取り組み状況を評価する「SDGs評価ランキング」における鳥取県の順位は、2022年まで全国1位、全国でSDGsが進んできた2023年も上位と僅差の4位でした。このように地元に誇れるものがあることを紹介すると、子どもたちはとても喜んでくれます。ローカルエナジーの活動を通じて、これからも子どもたちが誇りに思えるまちづくりに貢献していきたいです。

△小学生への環境教育の様子

渡辺:ローカルエナジーには、「SDGs de 地方創生」の公認ファシリテーターの資格を持つ社員が2名おり、私もそのうちの一人です。

SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」に基づき、カードゲームを用いたSDGsワークショップも行っています。企業の研修や地域の子どもたちなどにSDGsについて楽しく学んでもらう中で、ローカルエナジーの取り組みについても知ってもらえるきっかけになればと思っています。

△SDGsゲームの様子

SDGsと働きやすい環境づくり

―次世代教育はSDGsのゴールに基づく取り組みでもあるのですね。ローカルエナジーのSDGsに向けた取り組みは他にもあるのでしょうか?

渡辺:SDGsが日本国内に浸透し始めたとき、ローカルエナジーの理念や事業内容がその考え方に近いということで、SDGsのゴールを達成するための計画がなされました。ローカルエナジーでは、SDGsの17のゴールのうち、特に10のゴールについてそれぞれ目標を設定しています。

私は総務部に所属し、経理や労務管理などを担当しています。働きやすい職場環境づくりを行うため、有給休暇を取りやすく、時間外労働をできるだけ減らせるよう配慮しています。電力の供給は生活にかかせないインフラで、そのための需給管理は一日も止められない業務です。万一地域に災害が起こったり、感染症の蔓延などの社会情勢があっても、確実に対応できる体制づくりとしてテレワークを導入しました。山陰は積雪地方で、大雪の日は必要な人員が出社できないこともあります。そのためにも在宅勤務は重要なシステムです。

ローカルエナジーは、新しい取り組みに挑戦していく会社であるため、一人一人が責任感を持って業務にあたることでストレスをためすぎないように、部署間に隔たりを作らないように、常に全体を見ています。社員7名という限られた人数の中で、それぞれが安心して働けるようにするため、公平な対応と丁寧なコミュニケーションを心掛けています。

働きやすい環境づくりに取り組むことは、先ほどのテレワークの例にもあるように、災害や急な社員の体調不良などのリスク管理にもつながっています。

そのほか、副業を認め、専門性の高い方に業務委託で参加していただくなど、多様な働き方ができるという点では、新しい考え方の企業かも知れません。

―ローカルエナジーは、働きやすい環境づくりを目指しておられるのですね。

△オフィス内の様子

女性が活躍しやすいまち

―ライフワークバランスを大切にしておられる職場とお聞きしたことがありますが、実際のところいかがですか?

安田:私は正社員として働きたいと考えていたところ、縁あってローカルエナジーへ入社することになりました。現在は電力事業部に所属し、電力の需給管理業務等を中心に、対外的な調整やチームの管理的な仕事も行っています。仕事とプライベートのスイッチを切り替え、どちらも楽しみながら両立できるのが理想です。忙しく理想通りにいかないこともありますが、自分らしく頑張っています。

「米子というまち」の気風は?

安田:米子は昔から「商人のまち」です。地域柄か、女性の就業割合が高いように思います。2世帯で同居している人多く、子どもを地域で育てようとする気風があって、女性が活躍しやすいまちなのかもしれないですね。

男性も積極的に家事・育児に関わろうとする人が多く、私自身も働きやすい地域だと感じています。

△需給管理業務の様子

若い世代の人たちに「いいな」と思ってもらえる会社に

宇田川:これからも、ローカルエナジーの理念である「エネルギーの地産地消による新たな経済基盤の創出」に貢献していきたいです。ローカルエナジーだけでなく、地域全体でみんなの力で良くなっていきたいという想いがあるので、こうした会社の理念にはとても共感しています。

今後、ローカルエナジーが地域のインフラのプラットフォームとしての立ち位置を確立していけるといいなと思います。

私たちの仕事は「お医者さん」「サッカー選手」のように、子ども達にも分かりやすい職業ではありませんが、こうした仕事もあるということがもっと広まれば、目指す人が出てきてくれるかもしれないですね。

安田:米子には企業が少ないので、若い世代の人は大学から外へ出ていくとなかなか帰ってこられないという現状があります。私たちの仕事を通してローカルエナジーが認知され、その魅力が伝わり、結果として若い人たちに興味を持ってもらえ会社になれば嬉しいです。

△オフィスの外観

地域エネルギー会社のトップランナーと呼ばれる会社で、職場環境の整備にも取り組み、様々なライフステージの人が働きやすい環境づくりをされていることはとても素敵で、あらゆる会社がめざすべきお手本のようだなと感じました。実際に各部署で活躍されている女性リーダーの方がいらっしゃるということも、頼もしいです。

ローカルエナジーはこれからも、米子から地方創生に向けた新たなチャレンジを続けていかれることでしょう。

会社概要

会社名     ローカルエナジー株式会社
所在地鳥取県米子市角盤町1丁目55番地2 中海テレビ放送センタービル2F
会社HPhttps://www.lenec.co.jp/index.php